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異質な融合が生むコントラスト〜重要文化財松城家住宅(静岡県戸田)〜

こんにちは。Theatreの山田です。

私たちは日頃ご紹介している物件情報とは別に、全国のさまざまな場所で出会った素敵な建物や施設を、時折り皆さまにシェアをさせていただいております。

今回は静岡県沼津市戸田地区にある「松城家住宅(まつしろけじゅうたく)」についてのコラムです。
先日静岡県への訪問機会があり、この地域を訪れた際に建築に関する知見を広げていきたく、松城家住宅へ訪問いたしました。
それでは本題に入る前に戸田(へだ)というまちについてお話ししていきたいと思います。

出会い岬から一望できる戸田の様子

静岡県沼津市にある戸田は、伊豆半島の北西部に位置し、総面積は約 35 km²と、沼津市全体の約18%を占めているまちです。戸田はまちの8割以上が山林を占め、達磨山を水源とする大川が地域の中央部を西流し、戸田湾付近に平地が形成されています。 地域内には、戸田湾を弓状に囲む白砂青松の砂浜が広がる御浜岬や戸田港を一望できる「出会い岬」、富士山を望む「煌めきの丘」、日本の棚田100選に選ばれた「北山の棚田」など数多くの景勝地があります。

それでは今回は戸田にある重要文化財である松城家住宅を訪れ、実際に見学した感想や建物の特徴についてお話していきます。
そもそも松城家住宅とは江戸時代から廻船業で財を成したという松城家の住宅として明治時代に建てられた建築物で、国の重要文化財にも指定されています。
2006年(平成18年)7月5日には主屋、文庫蔵、門などの建造物7棟及び土地が国の重要文化財に指定され、現存する建屋は主屋、ミセ、文庫蔵、東土蔵、北土蔵の5棟となっています。
そして2018年から2022年の長い時間をかけて保存修理工事が完了し、2022年11月3日から一般公開が可能になりました。

明治時代当時の雰囲気を残す独特な建築物

主屋は竣工当時の明治初期によく見られた「擬洋風式住宅」になっています。特に1873年(明治6年)に棟上げされたこの松城家は、現存する日本最古の「擬洋風建築」と言われており、1999年には国指定登録有形文化財に選定されています。

1階部分は一般的な和風建築ですが、2階部分が洋風建築の様式で建てられているのです。和風建築と洋風建築がミックスされた建築であり、その名称が「擬洋風建築」です。

その中から今回は実際に訪問して、印象的であった1階ヒロマ、ジョウダンノマ、2階応接間、龍の間についてご紹介していきたいと思います。

はじめに1階ヒロマについてです。ミセのすぐそばにあり、土間から入ってすぐのところに位置するヒロマ。この部屋は来客者が立ち入る部屋ではないため、襖ではなく、板戸で仕切られているのです。庭に面していることから日の暖かい光と板戸の温かみのある雰囲気がとても柔らかく心地のいい空間でした。また、正面部分には神棚が設けられていますが、松城家住宅では2階がある為、「神様を踏まないように」との配慮から、雲に見立てた意匠になっているのだそうです。

なお、地元に鎮座する部田神社の護符があり、護符の前には大黒天、布袋の小さな象が祀られていました。

続いてジョウダンノマです。主屋では部屋の動線によって上客と家人を分けており、ホンゲンカン、オザシキ、ジョウダンノマは家長と上客用のエリアとなっています。当時は家族でもほとんど入ることのできなかったエリアとなっていたのだそうです。そしてジョウダンノマは松代家のなかで、最も格式高い部屋になっており、オザシキからは1段高く設えていました。床の間横には違い棚を付け、ロシア海軍大将プチャーチンの娘、オリガ・プチャーチナが来訪した際にはこの部屋に宿泊したとのことでした。

階段を上って2階へ。2階は洋風の装いとなっており、前の間とつながる4間の天井には外国産の壁紙が張られ、洋風の装いとなっていますが、どの部屋も床は畳敷きという和洋折衷の空間となっています。

この建築物の一番の特徴は1階と2階の印象の違いの大きさ。その違いを1番感じるのは2階応接間の空間でしょう。階段を登って目の前に前の間、その奥に応接間が広がります。前の間との仕切りの鳥の子紙の建具は取り外すことができ、4つの部屋を1つの部屋として使用することも可能になっています。この建具の開口部分はアーチ状、畳の部屋の天井が洋風という「擬洋風」になっており、中央部分のランプは、高さ調整ができるよう、巻き取りチェーン付きになっています。幕末時代から明治初期のわずかな期間の間だけに建てられた、西洋文化が日本に入り始めた頃の独特な雰囲気を感じられるたいへん貴重な空間です。


最後に龍の間。この空間は建物の中で1番特徴を感じる空間で、漆喰塗込めと呼ばれるつくりで当時の日本建築にはない装いだったとのことです。

天井部分には龍の漆喰鏝絵が描かれています。そのため「龍の間」と呼ばれています。ここへ来た時、1階との雰囲気の違いから、全く違う建物の中にいるのではないかと思いました。また、床は畳敷である一方、天井や壁が真っ白に塗られており、大変洋風な雰囲気を感じます。上客用エリアとはいえ、なんだか落ち着かない空間です。

漆喰鏝絵

今回の訪問の感想として、松城家住宅は非常に趣深い建造物であると感じました。また修善寺を起点として、松崎にも数多くの建造物が遺されているので、そちらもぜひ訪問したいと思います。

皆さま静岡に来られた際はぜひお立ち寄りください。

【訪問概要】
住所:〒410-3402 静岡県沼津市戸田72
アクセス:伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅からバスにて60分、バス停「戸田」から徒歩6分
営業時間:9時〜16時 水曜定休日

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